しなやかな美獣たち
第2章 ♠:What is Love?【純愛ホラー・BL】
アイツと暮らす様になって知った事がある。
アイツは俺に触れられるが、俺はアイツに触れる事が出来ない。
だから…。
抱き締めてやることすら出来ない…。
「なぁ?お前は気持ち良くなりてぇとか思わねぇの?」
ある時、俺はヤツに尋ねてみた。
「僕?僕はキミが気持ち良さそうな顔をしているのを見ているだけで満足だよ?」
そう言いながら、俺の分身をいつものように弄んでいる。
「どうして?」
そう言ってヤツは手を止めると首を傾げた。
あああああ!ヤバイ。
ドキッとした。
男のコイツの仕草にドキッとしちまったぁぁぁぁ!!
俺は赤くなった顔を片手で覆うと、ヤツから視線を外す。多分、もろバレだけど。
「ねぇ?どうしたの?」
ニヤニヤしながら、ヤツが俺に尋ねてくる。確信犯だ。
「五月蠅い!男の癖に、可愛い仕草とかすんじゃねー!!」
「ふぅ~ん?僕の事、可愛いって思ったんだ?」
そう言ってヤツはニヤリと笑う。その笑みは妖しくて艶っぽく、俺の心を揺さぶる。
認めたくはないが、俺はコイツに落ちてしまっているらしい。
だから、思うんだ。
コイツに触れたいと。
抱き締めたいと。
コイツの身体を余すことなく愛したいと。
でも、俺はコイツに触れる事が出来ない。それがもどかしい。