しなやかな美獣たち
第2章 ♠:What is Love?【純愛ホラー・BL】
「俺…。お前を抱きたい」
「えっ!?」
俺の言葉にヤツが目を見開いて固まった。
「お前を抱き締めたい。多分、俺はお前の事が好きだ」
「嘘だよ…。キミはノーマルで…僕が勝手にキミを好きで…。キミは優しいから、僕の好きにさせてくれて…」
「嘘じゃない。なぁ…?俺を連れて行ってくれよ。そうしたらお前を抱き締められるんだろ?」
「駄目だよ!そんな事出来る訳ないだろ!?そんな事をしたら、僕は…悪い霊になっちゃう…」
「だったら、俺もお前と同じ悪い霊になるよ。それならいいだろ?」
「駄目!そんな事…。キミを巻き込むなんて出来ないよ!」
「じゃあ、何で俺の前に現れたんだよ!巻き込みたくなかったんなら、最初から現れるなよ!遅いんだよ!こんなに…」
こんなに俺の心を奪っておいて。
今更、巻き込みたくないなんて。
もう…手遅れだ…。
彼は俺の言葉にポロポロと涙を流す。綺麗な顔を流れる、綺麗な雫。俺はそれを拭ってやる事が出来ない。
「僕は、幽霊だし…男だし…子供も産めない…。僕は…キミには生きて幸せになって欲しい…」
彼はそう言いながら肩を震わせる。
「だから僕じゃ駄目なんだ…。それなのに…僕は自分のエゴで、キミの幸せを邪魔して…。僕はキミに好きになって貰う資格なんてないのに…」