
しなやかな美獣たち
第2章 ♠:What is Love?【純愛ホラー・BL】
「勝手な事、言うなよ。そうさせたのはお前だろ?」
「そうだよ!僕だよ!だけど…。キミが僕を好きになってくれるなんて思わなかった。連れて行ってなんて言う程、僕を好きになってくれるなんて思わなかったんだ!!」
そう言うと、彼は突然消えた。
「ちょ!逃げるなよ!!」
まだ話の途中なのに、彼はそれを打ち切って姿を消した。俺は彼を追い掛ける術がない。
なぁ?俺はどうしたらいいの?
最初はお前を成仏させようと思っていたけど、俺はお前を失いたくないんだ。
でも、今の俺じゃあお前には触れられない。だったら、俺もお前の所に行くよ。
そうすればずっと一緒に居られるんだろ?
お前が俺を連れて行ったら悪霊になるんだったら、俺が自ら命を断てばいいのか?
俺は衝動的にそう思うと、首が吊れそうな物はないかと探す。
ネクタイでもイケるんだっけ?
俺はクローゼットからネクタイを一本選び出すと、それでどうやればいいかを考えた。
よく聞くのがドアノブに引っ掻ける方法らしいけど、どんなだ?
反対側のドアノブに掛けて垂らすには、ネクタイでは長さが足りない。
座って引っ掛けるんだっけ?
でも、苦しくなったら起き上がっちまいそうだしな。
そんな事をあれこれ考えて、首吊りは辞めようと思った。
次に台所に行き、包丁を取り出す。
風呂に湯を溜めて切ればいいか。ああ、でもこれって失敗率高いんだよな。
