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しなやかな美獣たち

第3章 ♥:Sweet Beast【恋愛・NL】


 「あははっ! それは嬉しいお誘いだけど……。そうじゃなくて、まずは"ありがとう"でしょ? くくくっ……」

 そう言うと彼はお腹を抱えるようにして笑う。彼の言葉に私はハッとした。

 そうだ。まずはお礼の言葉が最初じゃないの。人に何かをして貰ったら、それを述べるのだと子供の頃から教えられて来たじゃないの。

 「すっ……すみませんっ!! あのっ、有難うございますっ!!」

 私は慌てて頭を下げると、ひとしきり笑った彼は、目尻に溜まった涙を指先で拭いながら、私の手を取りスマートフォンをその上に置いた。

 「よく出来ました」

 そう言ってポンポンと頭を撫でる彼。

 え? 何? 何なの? 何でイケメンさんに頭撫でられてるの?

 って言うか、馴れ馴れしくないかー!?

 私が固まっていると、イケメンさんは彼の鞄を手に取り、「それじゃあ行こうか」と言って私の腕を掴んで歩き出す。

 え? 何処に? 何で? 誰と?

 って言うか、何で私の腕を掴んでいるのー!?

 「だって、"御礼に食事でも"って、キミがさっき言ったんでしょう?」

 そう言うとイケメンさんは、ニッコリと笑って扉を開け、私を先に出る様に促した。

 私が促されるまま扉を抜けると、また彼に手を引かれエレベーターに乗せられる。

 状況の掴めないまま、彼のペースに乗せられて、いつの間にか彼の車にまで乗せられていた。

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