しなやかな美獣たち
第3章 ♥:Sweet Beast【恋愛・NL】
「気付いてないの? 僕、いつもキミの後ろに座ってたんだよ? ちょっと覗けば見えるって」
川戸さんはそう言ってクスクスと笑った。
「僕もあのサイトを利用しているからね。直ぐに分かったよ。キミは日記も書いてたし……」
きゃー!!!!!!! 何て事っ!!!!!
誰にも分からないって思ってたのにっ!!!!!!!
確かに作家志望なら、小説を投稿するサイトに作品をアップしている人も多いだろうけど。まさか、バレるとはっ。
しかも、普通の恋愛小説なら、まだ可愛いけれど、私の書いているのは官能小説だ。エッチな描写も沢山ある。
「あれって、キミの経験? それとも願望?」
「いやっ……、あのっ……。それは……、えっと……」
「いつもエッチな事を考えてるの?」
そう言うと彼は身を乗り出し、私の顔を覗き込んだ。眼前に広がる、妖しい笑みを浮かべた川戸さんの顔。
「嬉しいな。真面目そうなキミがあんなにエッチな事を考えてるなんて……。そのギャップも好きだよ」
そう耳元で囁かれた瞬間、私の身体の奥から、じゅわっと何かが溢れ出た。
「目……閉じて? キスしよ? 僕がキミを満たしてあげる……」
甘く低い声でそう囁かれて、耳朶を食まれる。既に心は彼に堕ちている私は、もう抵抗なんて出来るわけがない。
私が瞼を閉じると、彼の形の良い唇が私のそれに静かに重なった。
「ん……」
彼の舌が私の唇をなぞり、口を開けと歯列をなぞる。