しなやかな美獣たち
第3章 ♥:Sweet Beast【恋愛・NL】
彼は玄関の扉の鍵を閉めると、パンプスを脱ごうとして身を屈めた私にいきなり襲い掛かってきた。
「ちょっ!? 川戸さん!?」
「ゴメン……。ベッドまで待てない……」
そう言うと彼は貪るように私に口付ける。熱い舌で口内を掻き回され、頭の中が蕩けそうになった。
「んん……っ」
腰が砕けそうになり、身体がガクンと揺れると、彼は私の身体をしっかりと抱き止めて、口付けを深くする。
車の中の時よりも激しい口付けに、私は唯々、驚くばかりだ。
彼は私の唇を貪りながら、スカートの裾をたくし上げようと手を動かす。
「駄目……っ。シャワー……浴びさせて……」
私がそう言って彼を引き離そうと腕に力を込めると、「ゴメン」と言って彼が身体を離した。
「謝らないで下さい。その……、そんなに私を求めてくれて、嬉しい……から」
「嘉音ちゃん……」
ペンネームではない、本当の名前を呼ばれ、胸がキュンと疼く。
彼は私を引き寄せ、額に軽く口付けると、私を浴室へと案内してくれた。
「一緒に入ってもいい?」
彼にそう尋ねられて、恥ずかしかったけれど、電気を消してくれるという条件で承諾する。
それでも、脱衣所の電気は点けてあるのだから、完全な暗闇ではない。お互いの顔も身体も確認出来るくらいには明るい。
それでも煌々と照らされているよりは、まだいい。
脱衣所で口付けを受けながら、一枚、また一枚と衣服を脱がされていく。
下着だけになると、物凄く恥ずかしくて、彼を先に浴室へ入るように促し、自分で下着を脱いでから後に続いた。