しなやかな美獣たち
第4章 ♥:オオカミ少年とヒツジ女子【年下♂×年上♀】
結局、あれから一カ月が経つが、私は未だに坊ちゃまの背中を流している。しかし、諦めない。今日も説得を続ける私。
「何でそんなにしつこいんだ! 僕の事なんて、ガキだと思っているんだろう? ガキの裸なんて、大した事ないだろう?」
「"ガキ"だなんて、お言葉が悪い。そんな事、思っておりません!」
「思ってるだろ! じゃあ、何で未だに"坊ちゃま"なんだ!? 僕の事を子供だと思っているからだろう?」
「そう言うつもりでは……」
正直に言えば、身体は大人になりつつあるが、まだ子供だと思っている私は返答に困る。私の態度に苛々したのか、坊ちゃまは私の腕を掴むと、浴槽に引き摺り込んだ。
バシャンと水飛沫が上がり、私は浴槽の中へと倒れ込む。そして気が付けば、坊ちゃまの膝の上に座っていた。
「し……っ、失礼致しました!」
そう言って立ち上がろうとする私の腰に坊ちゃまの腕が回され、立ち上がる事が出来ない。
「楠……。いつになったら……。幾つになったら、お前は僕を男として見てくれる?」
そう言いながら、坊ちゃまの手がさわさわと私のお腹の辺りを撫で、上へ上へと上がっていく。
「坊ちゃま?」
「お前は俺の執事だろう? お前は俺を男にする義務がある」
坊ちゃまはそう言いながら、私のシャツの釦(ボタン)を外すと、懐に手を忍ばせてきた。