しなやかな美獣たち
第4章 ♥:オオカミ少年とヒツジ女子【年下♂×年上♀】
「ああ! もう、苛々するっ!! 楠、お前自分で脱げっ!!」
「えっ!? 嫌ですよ! 何で脱がなければならないんですか?」
「それは…………」
坊ちゃまは一度言葉を飲み込むと、私を睨むように見つめる。暫くの沈黙の後、坊ちゃまが口を開いてこう言った。「お前が欲しいからに決まっているだろう」と。
そして、照れ隠しなのか、少し乱暴に私の唇に自分の唇を押し付けてきた。拙い口付け。だけど、胸がキュンとする。
「三年前、お前がここに来た時から、お前は僕のモノだ。僕はお前を離さない。ずっとここに居て、ずっと僕の傍に居ろ」
何度も私の唇を奪いながら、坊ちゃまはそう命じる。主の望みとあれば、応えないわけにはいかない。
主の望みを叶える事こそ、使用人の務め。そして喜び。
私は立ち上がると、シャツを脱ぎ棄て、ゆっくりとサラシを解いていく。
それをゴクリと喉を鳴らしながら、我が主が見ている。
その瞳には男の情欲の炎が揺らめいていて。
私はその炎に身を焼き尽くされそうだ。
私がサラシを取り去り、床の上に落とすと、坊ちゃまは腰を浮かせ、私の腰に腕を回した。
そして胸に顔を埋め、頬擦りをする。
その姿は、母親に甘える子供みたいで。
やっぱりまだ、子供なのだろうかとも思ってしまう。
でも、それすらも愛しい。
「舐めてもいいか?」
そう尋ねられて、恥ずかしいけれど頷く。
「お好きなように……。私は坊ちゃまのものです。今までも、これからも……」
私がそう言うと、坊ちゃまは本当に嬉しそうに笑ってくれた。