しなやかな美獣たち
第5章 ♥:最後のキスは死神と【ファンタジー・NL】
「おい! 起きろ!! ご主人様のお帰りだ」
誰かがあたしの頭を小突いてそう言った。「ご主人様」って誰の事? あたしが"パチッ"と目を覚ますと、目の前には自称・死神男の顔があった。
「あ、お帰りぃ~……」
目を擦りながら身体を起こすと、死神男にひょいと担ぎ上げられた。え? 突然なに!? と思った瞬間には、ベッドの上ではなく、バスタブの中にいた。しかも裸で。
「ぎぃえぃやぁあぁぁぁ!!」
「なんつー、色気のない叫び声だよ。ったく、黙ってればイイ女なのに勿体ねぇっつーか……」
「う……うるひゃいっ!!」
「煩いのはあんただっつーの!」
そう言いながら、死神男はあたしを抱き寄せると、胸の谷間に顔を埋めた。なっ!? いきなり何をすんじゃー! この男は!! セクハラで訴えてやるっ!!
「訴えるってどこにだよ。あんた全能神の居場所しらねーだろーが」
そう言うと死神男は、さわさわとあたしの身体を撫で始めた。