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しなやかな美獣たち

第5章 ♥:最後のキスは死神と【ファンタジー・NL】


 あたしは男に抱かれている間、意識を失う事が多くなっていた。男が留守の間は、ずっとベッドで寝て過ごす事も多くなってきていた。それでも、男が帰ってくると嬉しくて。あたしは男に身を委ねていた。男はあたしの身体を心配し、抱くのを躊躇していたけれど。あたしが望むのであればと、あたしに無理をさせない程度に、優しく抱いてくれる。

 しかし、別れは突然やって来た。

 男はあたしの腕の中で、タブレット端末を操り、その日刈る予定になっている者のリストを眺めていた。毎日、送られてくるその日の死者のリストである。あたしには、そこに表示されている文字は読めないから、そのリストの中に知り合いがいるとか、そんな事は分からない。だから、男はあたしの前で、平気でそれを見る事がある。それを見ていた男は、突然タブレットを投げ出すと、目から涙を零し始めた。

 「どうしたの?」

 あたしは男の頭に頬擦りをしながら、そう尋ねる。男は何も言わずに、あたしの顔を見上げると、あたしの腰に腕を回し、何かに怯える様にしがみ付いてきた。

 「どうしたの?」

 あたしは男の蟀谷に唇を寄せながら、もう一度尋ねる。すると男はあたしの胸に顔を埋めて、嗚咽を堪えながら一言、「お別れの時が来ちまったらしい」と零した。

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