しなやかな美獣たち
第1章 ♠:Vivid Colors 【学園・NL】
ある日、僕は先輩についての嫌な噂を耳にした。
淫乱、人の彼氏を寝取る女、魔性の女、彼女に手を出して辞めさせられた教師がいる、などなど。
どれも根も葉もない噂だ。きっと先輩に対するやっかみなんだ。
いじめ。
先輩が保健室に居たのはきっと、それが原因なんしゃないかと、僕は思った。
僕はそんな噂を耳にしても、態度を変えずに相変わらず先輩を慕う後輩を演じていた。
先輩は、中々、告白をする隙を与えてくれない。
「少年は変わってるよね」
放課後、人気のない図書室で僕は宿題を、先輩は何か詩のような物を書いている時、突然先輩がそんな事を言った。
「そうかな?先輩の方が変わってると思いますけどね」
僕は宿題から目を離さずに受け答えをしていた。
「あはは。言えてる。けど、キミも変わってるよ。いつもアタシの傍にひっついてるけどさ、友達居ないわけ?アンタ、カワイイ顔してるしモテそうだけど?」
「う~ん?クラスに話す奴は居るけど…。先輩と話していた方が楽しいし」
そう言うと僕は、顔をあげ先輩を見てニッコリと笑った。
先輩との付き合いにも慣れ、余裕が少しだけ出て来た僕は、彼女の意表を突く態度をとると、彼女が動揺する事が分かって来ていた。
「ああ、そ?」
先輩は素っ気なくそう言うと、僕から視線を外す。