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甘酸っぱい果実のその果てに

第5章 対峙

「母は、再婚しましたよ。あの後、きちんと話し合ったんです。優祐さんと会わなくなってから、あたしは荒れました。でも、それを瞬が見つけてくれた。本気で叱ってくれて、ずっと支えてくれた。あの男の子と奥さん、今はどうしていますか? きっと悲しんでいるんでしょうね。この家、壁薄いので、時折……聞こえてますよ。まあ、こちらもご迷惑かけているので、そのことについては、彼女には言いませんけど。まさか、お相手が優祐さんだったとは……」

 美羽ちゃんの言葉に優祐さんとの夜を思い出して、熱って行く。

「私は、優祐さんの事情を何も知りません。ただ、一つだけ分かること。あなた、最低ですね。もう二度と見たくもない。彼女も、こんなしょーもない人、忘れたほうがいいですよ。では、あたし、優祐さんの反論を聞く気もないし、大事な人を待たせているので、この辺で」

 美羽ちゃんは、階段を降りて行った。

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