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甘酸っぱい果実のその果てに

第7章 再出発

 周りの人が私を見て笑う。だけど、そんなことは今はどうでもいい。後ろから抱きつく俊哉の腕から抜け出して、俊哉と向き合う。俊哉は、瞬きも忘れて、口をぽかーんとだらしなく開けて私を見ている。

「うん、約束する。嘘じゃない。俺には優衣だけ。それを形で証明するから」

 もういいよね? 優祐さん、私はあなたを心の奥の思い出に時間がかかったとしても、必ずしまいます。改めて、これは最初からいけない恋だったから。

「ありがとう」

 これが、ここからが過ちを犯した私達の再出発だ。痛みを知った分だけ幸せになれると信じて――。

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