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宇宙

第1章 もう一人の私

「あっ」
ディスカウントショップの前を信号待ちしている絢は、隣の駐車場に一点を集中させた。
その視線の先には買い物を終わらせたばかりで、ビニール袋を車に積んでいる瑞穂の姿があった。絢は正面に顔を戻し、寂しさと困惑が入り混じった表情で、肩を落としうな垂れた。絢の様子に気付いた真希は意を決したような面持ちで、ようやく閉ざしていた口を開いた。
「絢、今まで絢に黙っていた事があるの。」真希は冷静さを保ちながら、落ち着き払った声で言った。
絢の心臓は加速し、体の中の緊張が行き場をなくし彷徨っている。
「急に言っても信じれないと思うけど落ち着いて聞いてね。これから私達が行くところは私達が元々住んでいたとこなのよ。絢が3歳の頃までね。」
絢は聞きたい事がたくさんあるような顔をして真希の方を見ていたが真希は続けた。
「そこはね、、、地球じゃないの、、、」
「え、、、地球じゃない、、?」
先程まで聞こうと頭の中で順番に並べていた事はガラスのように砕け落ち頭の中は真っ白になった。
「何を言っているの?地球じゃないって、、」
絢は混乱していて動揺を隠せなかった。
絢の反応は極めて正常だった。

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