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宇宙

第1章 もう一人の私

やがて私達を乗せた車は森の中へと入っていたった。
森の中は静まりかえり、時折、鹿が姿を現し私達の行く手を遮った。
そのたびに絢は「きゃっ」と驚いていた。あたりはすっかり暗くなり、少しかけた満月が不気味にかがやき、風もなく堂々とそびえ立つ木々の隙間から何かにみれているみたいだった。
整備されていない砂利道に、私達はゆらゆらと揺られながらクネクネした道を進んで行き、ある所で真希は車を止めた。
「着いたわよ。」
目の前には井戸状に開口している縦穴があり、それはどお見ても洞穴だった。
車のヘッドライトで入り口を照らしているが、中は吸い込まれそうなほど暗黙で不気味だった。
真希は嫌がる絢を車の中で待つように説得し1人、洞窟の中へ消えていき
絢は車に積んであるブランケットを頭から被り何も見えないようにしたが、
葉っぱが擦れる音でさえ何かが近ずいて来たのではとビクビクしていた。
➖クマが現れたらどうしよう。。➖幽霊が現れたらどうしよう。。
ネガティヴな妄想が絢の心臓を不愉快にさせる。

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