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宇宙

第1章 もう一人の私

「じゃあ出発するわよ、絢一旦椅子に座って、シートベルトしてくれる?発射する時だけ少し揺れるの。」

「え、ほ、本当に出発するの?」
今になってやっとこれからしようとしている事に
緊張と不安がふつふつと湧いてきたが、真希に言われるままにカビの生えた木の椅子に、不自然に背筋を伸ばし座った。

「そんなに緊張しなくても大丈夫。ジェットコースターに乗っていると思えばいいのよ。」

そっか、、ジェットコースター、、
え!?ジェットコースター!?

絢はパニックになり、どおにか見つけた言葉を必死に言おうとしたが、真希はすでにスピーカーに指示しスタートボタンに手を当てていた。

その瞬間カプセルは折れ線グラフのようにジグザグに進行し、四方八方に激しく揺れた。

すぐにその揺れは収まり先ほどとは打って変わって微動たりともしなくなった。

「あはは、久々だったけど変わらず楽しかったわ。出発する時だけ何故か揺れるのよね。」

「全然楽しくないよ!首の骨折れるかと思ったんだから!」
顔面蒼白の絢は真希を睨みつけた。
「それにあんなに大胆に飛行して他の人に見られないの?」
「ママのネオン1号は何回もテレビに出てるのよ、前は有名だったんだから。
UFO研究家の田代さんなんか、私が行く時間と帰る時間調べ尽くしてるもんだからテレビでUFOを呼ぶ事が出来る!
って鼻を鳴らして言っちゃってさ、ママが出発するくらいの時間に田代さんオリジナルの呪文を唱え出すの。
だからママもライトをチカチカさせてちょっとイタズラしちゃった。」
真希は子供のように屈託のない笑顔で笑った。

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