旅は続くよ
第20章 心配だけど
S「事故で亡くなったんだろ?
自殺かどうか、分からなかったんだろ?
なのにお前はお母さんの死を勝手に自殺に決めちゃってる。
俺にはそう聞こえるよ」
N「…だって!
『一緒に遠い所に行こうか』って言ったんだ…!」
S「それだって、文字通りに家を出て一緒に心機一転やり直すつもりだったとしたら?」
N「……まさか、…そんな事」
S「俺もね、いろいろ考えたよ。
…でもさ、亡くなった人の想いはわかんないな。
ニノはきっと想像力が豊かなんだね。だからお母さんの悲しみに引きづられてるように見える」
母さんが心機一転?
まさか、そんな事、考えた事もなかった…
S「ニノのお母さんに会った事ないからな、俺は。
無責任な当てずっぽうを言ってんのかもしれない。
でも、どれが正解か、本当のところはニノにだってわかんないだろ?」
わからないよ、どれが正解だなんて
もう聞く事ができない母さんの気持ち
わからなくて、苦しくて
それをずっと書き綴ってた俺の気持ち
『思い切って前を向いてみれば如何ですか』
村尾さんの言葉が胸に蘇る
N「村尾さんにも言われたよ。
…苦しかったら思い切って前を向いてみろって」
S「…そっか」
N「俺だってこのままじゃダメだって、思った事くらい何度もあるよ。
転職マガジン見たりしてさ…」
S「ライター辞めて?」
N「うん。…世の中には仕事がいっぱいあるじゃない?
ただ金を稼ぐだけなら幾らでもさ。
余計な事考えずに体動かして稼ぐんでもイイかなって」
S「…そうだな」
N「でもさ、…面接に行こうとさえしなかった。ずるずると、そのまま…」
S「“書く”事を止められなかった、って事じゃない?」
後ろ向きなんだと思ってた
くだらない思いを書き綴って何になるんだ、って思ってた
…許されるんだろうか
こんな気持ちで書き続ける事が
それでも俺はこの仕事を続けてもいいんだろうか
自殺かどうか、分からなかったんだろ?
なのにお前はお母さんの死を勝手に自殺に決めちゃってる。
俺にはそう聞こえるよ」
N「…だって!
『一緒に遠い所に行こうか』って言ったんだ…!」
S「それだって、文字通りに家を出て一緒に心機一転やり直すつもりだったとしたら?」
N「……まさか、…そんな事」
S「俺もね、いろいろ考えたよ。
…でもさ、亡くなった人の想いはわかんないな。
ニノはきっと想像力が豊かなんだね。だからお母さんの悲しみに引きづられてるように見える」
母さんが心機一転?
まさか、そんな事、考えた事もなかった…
S「ニノのお母さんに会った事ないからな、俺は。
無責任な当てずっぽうを言ってんのかもしれない。
でも、どれが正解か、本当のところはニノにだってわかんないだろ?」
わからないよ、どれが正解だなんて
もう聞く事ができない母さんの気持ち
わからなくて、苦しくて
それをずっと書き綴ってた俺の気持ち
『思い切って前を向いてみれば如何ですか』
村尾さんの言葉が胸に蘇る
N「村尾さんにも言われたよ。
…苦しかったら思い切って前を向いてみろって」
S「…そっか」
N「俺だってこのままじゃダメだって、思った事くらい何度もあるよ。
転職マガジン見たりしてさ…」
S「ライター辞めて?」
N「うん。…世の中には仕事がいっぱいあるじゃない?
ただ金を稼ぐだけなら幾らでもさ。
余計な事考えずに体動かして稼ぐんでもイイかなって」
S「…そうだな」
N「でもさ、…面接に行こうとさえしなかった。ずるずると、そのまま…」
S「“書く”事を止められなかった、って事じゃない?」
後ろ向きなんだと思ってた
くだらない思いを書き綴って何になるんだ、って思ってた
…許されるんだろうか
こんな気持ちで書き続ける事が
それでも俺はこの仕事を続けてもいいんだろうか