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旅は続くよ

第22章 分かんないよ

愛の言葉…?

そんなつもりは無いよ

俺はただ、潤を寂しくさせたくないだけ

潤が沈んでいくのなら、俺も一緒に沈みたいだけ


たどたどしい言葉でそう伝えて

A「…俺が好きなのはニノだよ」

改めてそう付け加えると

ニノは仕方なさそうに薄く笑った


N「…あのさ。だったら俺は寂しくていいわけ?」

A「ニノには生きてもらいたいもん。
生きて…、幸せになってもらいたい」

N「アンタ、俺の事が好きなんでしょ?
だったら普通はさ~、俺と一緒に生きて幸せになろうと思うんじゃないの?」

A「それだと潤が1人になっちゃうじゃん」

N「ははっ、そこは譲れねーのかよ」

堂々巡りだな…とニノは小さく呟いて

冷めかかったコーヒーをコクンと飲んだ


N「じゃあ断るんだね?」

A「……え?」

N「断るんでしょ?潤くんの想いを。
どうやって断ろうか悩んでるって事ね?」

A「………」


どうやって断ろうか…?

そんな事、考えてなかった

分からない

何から考えていいかすら分からない

ただ、頭の中がグルグルしてるだけ


また黙り込んでしまった俺に

N「…全然埒あかねーじゃん」

ニノはまた呆れたように笑った


N「じゃあさ…、俺が思った事言うね?」

A「……」

N「長年アンタと一緒にいる、幼馴染としての見解だよ」

A「…なに?」


N「アンタは昔から潤くんが1番でさ。
俺、ずっと見てきてたからわかるよ。
俺とゲームしててもさ、『潤がコレ好きだから』って嬉しそうにしてたよね」

そうだ

先にゲームにハマったのは潤だった

1人でゲーム機に向かう姿に何となく寂しくなって

ニノに聞いたゲームの攻略法とかを

潤がキラキラした目で聞いてくるのが嬉しかった


N「潤くんが1番。俺よりもね」

A「…でも、それは…」

N「弟だから?次元が違う?」

A「そう」

N「そうかな?俺はそういう問題じゃないと思うけど」

A「…だって」

N「まあ聞きなさいよ。どうせアンタは頭グルグルで何も分かってないんだからさ」

ピシャリと言われて反論を引っ込めた


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