テキストサイズ

旅は続くよ

第23章 あなたに1番に

N「そうだ。翔ちゃんビール飲む?」

S「ん?あー、そうだね」

N「俺も飲もうっと。持ってくるね」

徐に立ち上がったニノに俺も慌てて

S「あ、俺も行くよ」

N「いーのいーの。翔ちゃんは座ってて~」

立ち上がろうとする俺を制して、ニノはキッチンに向かった


バカッ冷蔵庫が開く音がして

N「んふふっ、俺、今日いい事あったんだ~」

嬉しそうに声が弾む

S「え~、なになに?」

N「んっふっふ~」

ビールの缶2本持って現れたニノは明らかに嬉しそうで

俺まで笑顔になってしまう


N「はい。乾杯しよ?」

手渡されたビールの缶をプシュッと開けて

S「何に?」

俺が問うと、ニノは改まったようにチョコンと正座した

N「俺ね、今日、世話になってる編集長んとこ行ってきたんだ」

S「うん」

N「そんでね…、今度から定期的に記事書かせて貰える事になりました!」

S「えっ!?ホントに?」

思いがけない吉報に、つい大声を出してしまった


N「うん。ふふっ…、翔ちゃん声デカイ」

S「ええ?だって…。凄いじゃん!
やったな、ニノ!」

凄いよ!

ちょっと前からは考えられない展開に

まるで自分の事のように凄く嬉しくなって

S「おめでとう!」

缶ビールをガツンと合わせると

N「…んふ、ありがと」

ニノがハニかむように笑った


1口煽ったビールの冷たさが喉を通り過ぎる

S「くぅ~っ!うめぇ!」

N「あ~、おいっし!」

嬉しい報告の後の味はまた格別で

フゥッと息をつくニノの笑顔が眩しくて

また俺の胸に嬉しさが込み上がる


S「でも急になんで?何が起きたんだ?」

N「今日ね、相葉さんと会うまで時間あったから出版社行ってきたんですよ」

聞けば、雅紀に会えるまでの時間

その編集長に会いに行って、村尾さんに会ったことを自慢したらしい

スゴイ凄いと興奮して羨ましがる様子に気を良くして

村尾さんに『仕事紹介しようか』なんて言われちゃった、と自慢したそうだ

ニノがライター始めた頃から世話になっているその編集長は

最近のニノの仕事ぶりを「勿体無い」と思っててくれたらしい


ストーリーメニュー

TOPTOPへ