旅は続くよ
第24章 帰ってきてよ
商店街の端の方にある大きな中華料理店
街のネオンが半分ほど消えた時間に店の前まで来ると
「ありがとうございました~」
自動ドアが開くと同時に、賑やかな団体客が出てきた
その隙間から店内を覗くと、団体客に向けて挨拶をしていた女性と目が合った
「あら」
M「あ…、ご無沙汰してます」
その人はオーナーの奥さんで、俺も面識のある人だった
「お兄さんに用?」
M「はい。いや、後でいいんですけど…」
「もうすぐ終わるわよ。あ、その前に少しいいかしら」
オーナー夫人が少し窺うように振り返った店内には、もう客の姿は無い
フロアにいた女の子が片づけをしている
もちろん厨房にいるはずのまー兄の姿は見えなかった
「…ちょっと外に。いい?」
M「あ、…はい」
彼女はまるで誰かから隠れるように
俺を店の裏口の方へ誘い出した
誰もいない裏口には、勝手口の灯りだけ点いていて
裏通りに沿って所々垣根が植えられている
細い歩道には人の姿もなく、
静けさの中でガードレールだけが冷たく光っていた
「ごめんね。こんな所で」
M「あ…、いいえ」
「突然だけどさ、あなた達、今親戚の家にお世話になってるのよね?」
M「…はい」
「何かあったの?」
M「え?」
聞けば、まー兄が長く店に泊り込んでいるから
親戚の家で何かつらい目にあっているのかと
オーナー夫妻は心配していたらしい
M「すみません。ご心配をお掛けして」
「いいのよ、そんな事は。
相葉くんは本当によく働いてくれるし、店の休憩室だって好きに使ってくれていいんだけどさ。
ただ…、いくら親戚とはいえ他人の家じゃ気を使うんだろうしね~。
兄弟で住むなんて言っても、お母さんの事もあったから貯金もそう無いんでしょ?
ウチがもっとお給料上げられたら良いんだろうけど…」
M「いえ、そんな事は…」
何だか居たたまれない気持ちで一杯になった
気のいいオーナー夫妻にも
まー兄にも
何だか悪者になってるさと兄たちにも
全部、俺のせいなのに
街のネオンが半分ほど消えた時間に店の前まで来ると
「ありがとうございました~」
自動ドアが開くと同時に、賑やかな団体客が出てきた
その隙間から店内を覗くと、団体客に向けて挨拶をしていた女性と目が合った
「あら」
M「あ…、ご無沙汰してます」
その人はオーナーの奥さんで、俺も面識のある人だった
「お兄さんに用?」
M「はい。いや、後でいいんですけど…」
「もうすぐ終わるわよ。あ、その前に少しいいかしら」
オーナー夫人が少し窺うように振り返った店内には、もう客の姿は無い
フロアにいた女の子が片づけをしている
もちろん厨房にいるはずのまー兄の姿は見えなかった
「…ちょっと外に。いい?」
M「あ、…はい」
彼女はまるで誰かから隠れるように
俺を店の裏口の方へ誘い出した
誰もいない裏口には、勝手口の灯りだけ点いていて
裏通りに沿って所々垣根が植えられている
細い歩道には人の姿もなく、
静けさの中でガードレールだけが冷たく光っていた
「ごめんね。こんな所で」
M「あ…、いいえ」
「突然だけどさ、あなた達、今親戚の家にお世話になってるのよね?」
M「…はい」
「何かあったの?」
M「え?」
聞けば、まー兄が長く店に泊り込んでいるから
親戚の家で何かつらい目にあっているのかと
オーナー夫妻は心配していたらしい
M「すみません。ご心配をお掛けして」
「いいのよ、そんな事は。
相葉くんは本当によく働いてくれるし、店の休憩室だって好きに使ってくれていいんだけどさ。
ただ…、いくら親戚とはいえ他人の家じゃ気を使うんだろうしね~。
兄弟で住むなんて言っても、お母さんの事もあったから貯金もそう無いんでしょ?
ウチがもっとお給料上げられたら良いんだろうけど…」
M「いえ、そんな事は…」
何だか居たたまれない気持ちで一杯になった
気のいいオーナー夫妻にも
まー兄にも
何だか悪者になってるさと兄たちにも
全部、俺のせいなのに