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旅は続くよ

第25章 待ってて

携帯が震えるのと同時に通話ボタンをタップする

N「ぅわ、早ぇ!今コール音した?」

A「うっさいな。潤どうだった?」

いいから早く教えろよっ

N「それがさぁ…」

…ゴクン

ニノの声を潜めるような口調に喉が鳴った


N「なんか…部屋の整理?してる」

A「…えっ?」

N「いや、もう俺が行った時には潤くんもう部屋に入ってたんだよ。
何て言ってノックしようか考えてたらさ~、中からガタンガタン聞こえてきて…。
んで、そーっとドア開けて覗いたわけ」

A「それで?」

N「タンスから服出したり、本棚から何冊か机の上あげたりしてた。
えらく真剣でさ、声掛けられる雰囲気じゃなかったよ」

A「それって、もしかして…」

N「ん?」

A「出て行こうとしてるんじゃ…」

N「ええっ!?」


耳に甦る、あの言葉

『…何なら…俺があの家を出るから』


…潤…!!


A「…帰る」

N「は?」

A「俺、今すぐ帰る!」

潤が出て行くなんてダメだ

そんなの許さない!


A「取り敢えず潤引き止めといて!
すぐにソッチ行くからさ!」

N「…帰ってきてどうすんの?」

A「どうすんのって、出てくの止めるに決まってるじゃん!」

N「止めて、それからどうすんの?
アンタちゃんと『好き』って言えんの?」

A「ソレとコレとは別の問題…」

N「別じゃねーよ。そんなの、また潤くんを傷つけるだけだ」


また傷つける…?

俺が、潤を…?

出て行かせたくないのに

潤を寂しくさせたくないのに

誰よりも俺が潤の幸せを願ってるのに

また…?

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