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旅は続くよ

第28章 信じて

A「ごめん…言うの遅れて…」

まだ理解出来ない

今、『好き』って…言った?


A「…潤…?」

窺うような瞳

頬の涙

…そっか…

俺が言わせたんだ……


M「…いいよ、そんなの……」

A「そんなの、って…」

M「だから…気を使わなくていいんだって。
言ったろ?俺はもう好きじゃないって」


笑わなきゃ

本当に何でもないように、笑顔で言わなきゃ

そう思うのに…

どうしても顔が強張ってしまう


A「…潤が好きじゃなくても…
俺は、潤が好きだよ」

M「無理しないでよ。いらないんだって」

A「無理じゃないよ、俺はホントに」

M「やめてくれよ!」


思わず叫んでた

もう聞きたくないから


本当は同情でも何でもいいんだ

まー兄の優しさにつけ込んで、自分の物にしてしまいたい

傍にさえ居れれば…

でも

惨めじゃん

哀れだよ、そんなの

結局苦しくなって、まー兄を傷つける

そうなる前に

まだ理性がある内に

2人で地獄に落ちる前に、まー兄だけでも逃がしてあげなきゃなんだから…


A「…ごめん。間違えた」

まー兄はまだ潤んでた目元をゴシゴシ擦ると

真っ直ぐ俺を見た


A「取り乱して間違えた。
この部屋見たら、潤が居なくなると思って…順番間違えた」

M「…順番?」

A「うん、1番大事な事から言わなきゃだったのに」

そう言ってスクッと立ち上がると

部屋から出て行こうとする


M「…え、どこ行くの?」

A「やり直すから。そこで待ってて」

意味不明な言葉を残して、まー兄は部屋から出て行った


…やり直す?

順番?

意味分かんない

それに…

「間違えた」って「好き」っていうのが間違いなんじゃねーの?

まー兄が好きなのはニノだろ?

そう思うのに…、1人になってみると

「好き」と言われたのが、やっぱり何処か嬉しくて

…嫌になる

何だよ、俺……



それにしても、まー兄どこ行ったんだ?

そう思った時、部屋のドアが開いて

A「潤、ただいま」

まー兄が部屋に戻ってきた






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