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旅は続くよ

第30章 変化

俺もウガイを終えてタオルで口元を拭くと

N「んふふっ、おデートですか」

A「…聞いてんなよ」

ニノが入口の壁に凭れるように立っていた


N「聞えたんですぅ。
アンタ達、洗面所でラブラブしないでよ。入りにくいわ」

A「うっさい。入ってくんな」

N「うわ、横暴。幸せ者はコレだから嫌んなっちゃう」

悪態をつきながら、ニノも歯ブラシを手に取った

シャコシャコと音を立てながら、開いた口で器用に喋りだす


N「アンタ、妙にキョドってない?潤くんの前で」

A「…えぇ?だって、…未だに慣れなくて…」

N「ラブラブ雰囲気に?」

A「お前~、ラブラブ言うな。茶化してんだろ」

N「んふふっ、茶化したくもなるじゃない。
でも…まあねぇ、兄弟から恋人って、すぐには変われないわな」

A「だろ?なのに潤は結構平気そうでさぁ…」

N「そう見えるだけじゃない?
アッチだってドキドキしてんだろうし」

A「そっかな~」

N「チューくらいしてないの?そうすりゃ嫌でも変わんじゃない?」

A「…チュー、って……」


思い出す

きつく抱きしめ返してくれた腕の強さ

潤の唇に触れた感覚


あんなにグルグル考えていたのが嘘みたいに

当たり前のように俺からキスをせがんだ

潤の方が最初戸惑ってたくらい


1度重ねてしまえば、もう離したくなくて

蕩けるように甘くて

キスであんなに幸せになれるなんて…

思ってた以上に、自分が潤を好きなんだって分かった


N「うわ、顔赤くして思い出してんなや。キモッ!」

A「おいっ、失礼やろが!」

N「やだわー。朝っぱらからエロい思いだし笑い」

A「エ、エロって…!」

図星だけどさ!


N「んふふっ。ま、結構な事じゃないの。恋をしてるのね~」

A「…また茶化す~」

N「これは茶化してませんって。いいな~ってホントに思ってるのよ?これでも」


優しく笑うニノの顔は茶化してる悪ガキの顔じゃなくて

大好きな親友らしい笑顔だったから

嬉しいのと同時に、意外に思った



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