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旅は続くよ

第32章 頼むよ

N「翔ちゃんに分けて貰った優しさを、ちょっとでもお返し出来たらな…って思うんだけど。
でもさ、自分がされて嬉しかった事を相手も喜んでくれるとは限らないでしょ?
ちょっとでもウザがられたらさ、俺…上手くやれる自信なんか全然ないもん。
自分は散々ウザがったくせにさ。
改めて…あの人スゲェんだなって思ったりして…」


そうだったな

『ねえ、……仕事ってそんなに大事?』

あの頃のニノは、見えない敵を睨むようにして口を尖らせてたっけな

『…気分じゃない』

そんな一言で片づけようとするニノを

追いかけまわして説き伏せようとする執念は我が弟ながら天晴なものだった


N「俺には…あんな事できねーもん。
じゃあ何が出来んの?って考えても何も出来ない。
ろくに笑わせてあげる事も出来てねーし…。
それでも何かしてあげたい、なんて…結局さ、自己満足なんじゃねぇかって・・・」

O「いいじゃねぇか、それで」


なんだ、結論出てんじゃん

ニノも翔ちゃんに似てんだな

よく回る頭でグダグダ考えすぎなんだよ


O「自己満足、おおいに結構じゃねぇの?
それって相手も幸せ、自分も満足って事だろ?
1番いい事だと思うけどな」

N「ふっ…、ははっ!」

俺の下した結論に、ニノは一瞬だけ目を丸くして

それから吹き出すように笑った

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