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旅は続くよ

第33章 特別なキス

くっつきそうでくっつかない距離で並んでビール飲んで

M「今日仕事どうだった?」

A「今日は団体向けの仕出しが多くてね~」

話すのは他愛のない事ばかり

それでも少し前と違うのは、

前より近い潤の笑顔だったり

それだけでドキドキしてテンション上がる事だったりするんだよね


もうちょっと、くっつきたいな

話しながら体を揺すって、ちょっとだけ近づいてみる

不自然じゃないかな

変に思われないかな

でも、あともうちょっと近づきたいな


M「もう酔った?」

A「え?なんで」

M「体揺れてるから。こんな早く酔い回るなんて疲れてんじゃない?」

ちっがーう!

何だかホントに心配そうな顔してる潤には悪いけど、全然違うから!!


A「や…、あの…」

M「無理しなくていいよ?俺に気ぃ使わなくても全然…」

A「違うっ」

ヤバい

潤は変にジェントルだから、このままだと部屋に強制送還されちゃう!


A「…そうじゃなくて…」

M「…ん?」

A「……くっつきたいなぁ、って…」

ああぁ~もうっ

恥ずかしいっ!

なんか今俺、中学生みたいじゃなかった?

こんないい大人になって、こんな事言っちゃうなんて!


ちょっと間が空いて、ますます恥ずかしくなった時

ドン!

A「ぅわっ」

ぶつかるように潤がピッタリくっついてきた


M「……そういうのはさ…、早く言ってよ」

ビックリして隣を見ると、少しだけ口を尖らせて俯いてる

M「俺だって…同じ事思ってたんだから…」

A「そうなの?」

M「…そうだよ」

A「くふふっ」

嬉しくて

照れくさくて

またついつい笑っちゃう


A「ふふっ。潤、照れてる」

M「…まー兄だって」

A「可愛い」

M「…まー兄の方が100倍可愛いし」

A「俺が?」

自分が『可愛い』と言われるなんて不思議な感じだけど

潤に言われると、なんだかこそばゆい気がする

それだけ好かれてんのかな…って

自惚れてんのかも知れないけど、また嬉しくなっちゃう


くっついてる部分から、潤の温かさが伝わってくる

もっとくっつきたい

寄りかかるように少し体重を預けると、潤が子供みたいに笑った


M「ふふっ」

A「ん?」

M「なんか…嬉しい」

A「うん」

俺なんか、もっと嬉しいよ

潤が同じように喜んでくれてさ

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