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旅は続くよ

第33章 特別なキス

不意に唇が逸れて、頬に移った

唇が寂しくなったけど、チュッ、チュッ、と鳴るリップ音と

肌に感じる唇の熱が気持ちいい


M「まぁにぃ…」

熱に浮かされたみたいな声と吐息が耳に掛かった

それだけで体の芯がギュッとなる

次の瞬間、耳朶をパクッと食まれた後、すぐ耳元の首筋に熱い舌を感じて

A「ぁんっ…」

思わず声を上げて体をビクンと揺らしてしまった、その時


ガバッ!と潤が勢いよく腕を伸ばして俺から離れて

我に返ったような顔で俺を見た

M「…ごめん…」

A「…潤…?」

なんで謝るの?


M「ははっ…、マジごめん。ちょっと…調子乗った」

A「はあ?」

何言ってんの、コイツってば

笑うとこでも謝るとこでもねーし

A「乗れば?調子」

M「え?」

A「ダメなの?乗っちゃ」

いや、ホントは調子乗るとか乗らないとかの問題じゃないんだけど


M「…いいの?」

A「いいよ」

M「…怖くないの?」

A「怖い?」

何が?

潤のこと?

そんなの、1度も思った事なんか無いに決まってるのに


ワケ分かんなくてしかめっ面してると、潤がハァ…って溜め息をついた

M「分かってないんでしょ」

A「何がだよ」

M「俺が調子乗ったらどうなるか」

乗ったらどうなるか?

そりゃあ…さっきの続きだろ?

耳にチュッとされて、首にチュッとされて、そしたら今度は

A「…あ」

…そっか

そういう流れか


M「分かった?」

A「…うん」

分かったよ

分かったけども…

M「出来てないでしょ?そうなる覚悟なんて」

A「覚悟?」

何それ

そんなのいる?


M「やっぱ分かってねー…。つか考えてねーし、この人は…」

A「考えてるよっ」

俺だって、そこまでバカじゃない

男同士の愛情表現が男女のソレとは違う事くらい知ってるよ

ドコにナニを挿れるかも…

まあ、それぐらいしか知らないけど


M「じゃあさ、まー兄はどうするつもり?考えてんだろ?」

A「どうする、たって…」

それは自然の成り行きで…

A「まあ、その場の雰囲気で何とかなるかな~、なんて…」

M「そんな程度だと思った…」

潤はまた溜め息をつくと、眉を顰めて額に手を当てた


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