旅は続くよ
第36章 今度は俺の番
O「ホントは会いてーのかもしんないと思って…」
N「お父さんに?」
O「うん。今は『会わない』って突っぱねてんだろうけどさ、
でも…、今を逃したら2度と会えないかもしんねぇんだろ?」
O「そりゃそうだけど…」
N「会わなくて後悔しても遅いじゃん、そういうのって。
だから流石に迷ってんじゃねーかと思うんだけどさ…」
さと兄の話を聞いて、翔ちゃんの気持ちになって考えてみた
突然掛かってきた、初めて知る存在の姉からの電話
1度も会ったことのない父がもうすぐ亡くなると聞かされて
翔ちゃんは何を思うだろう
何を考えてる?
悲しいの?
怒ってるの?
お父さんとお姉さんの存在が分かって嬉しい?
…だったらあんな顔してないか
想像した感情はどれも当たってるような外れてるような、ピンと来ないものばかりで
…やっぱ考えても分かんないや
俺は首を横に振った
N「翔ちゃんは何て言ってるの?」
O「…聞いてねーよ」
N「え?電話があった事とか話してないの?」
O「話せないから困ってんだよ」
N「へ?」
意外だった
何でも言い合える兄弟だと思ってた
兄を慕うしっかり者の弟
そんな弟を可愛い可愛いと見守る兄
実の兄弟ではないと知っていても、それを忘れるくらい自然な仲で
2人の間には隠し事も言えない事もないんだと思ってたんだ
O「なんつーかなぁ…。翔ちゃんだって俺に言わないじゃん。そういう電話があったって」
N「…うん。まあ、そうね」
O「だから俺も言えねーの。タブーっつーの?言っちゃいけない感じがする」
N「タブー、…ですか」
O「うん。俺はもともと両親がいたじゃない?産んでくれた母ちゃんは死んじゃったけど。
で、翔ちゃんはもともと父親はいなくて…
だから、翔ちゃんにとっては大野の家に来てからがホントの家族って認識なんだと思う」
確かにそうだ
翔ちゃんはすごく当たり前に、さと兄のお父さんを『父さん』と言う
さと兄を『智くん』と呼ぶのも、多分小さい頃からのクセなんであって
心の底から『兄』として認識してるんだと思う
そんなの俺にだって言葉の端々から分かるくらいだよ
N「お父さんに?」
O「うん。今は『会わない』って突っぱねてんだろうけどさ、
でも…、今を逃したら2度と会えないかもしんねぇんだろ?」
O「そりゃそうだけど…」
N「会わなくて後悔しても遅いじゃん、そういうのって。
だから流石に迷ってんじゃねーかと思うんだけどさ…」
さと兄の話を聞いて、翔ちゃんの気持ちになって考えてみた
突然掛かってきた、初めて知る存在の姉からの電話
1度も会ったことのない父がもうすぐ亡くなると聞かされて
翔ちゃんは何を思うだろう
何を考えてる?
悲しいの?
怒ってるの?
お父さんとお姉さんの存在が分かって嬉しい?
…だったらあんな顔してないか
想像した感情はどれも当たってるような外れてるような、ピンと来ないものばかりで
…やっぱ考えても分かんないや
俺は首を横に振った
N「翔ちゃんは何て言ってるの?」
O「…聞いてねーよ」
N「え?電話があった事とか話してないの?」
O「話せないから困ってんだよ」
N「へ?」
意外だった
何でも言い合える兄弟だと思ってた
兄を慕うしっかり者の弟
そんな弟を可愛い可愛いと見守る兄
実の兄弟ではないと知っていても、それを忘れるくらい自然な仲で
2人の間には隠し事も言えない事もないんだと思ってたんだ
O「なんつーかなぁ…。翔ちゃんだって俺に言わないじゃん。そういう電話があったって」
N「…うん。まあ、そうね」
O「だから俺も言えねーの。タブーっつーの?言っちゃいけない感じがする」
N「タブー、…ですか」
O「うん。俺はもともと両親がいたじゃない?産んでくれた母ちゃんは死んじゃったけど。
で、翔ちゃんはもともと父親はいなくて…
だから、翔ちゃんにとっては大野の家に来てからがホントの家族って認識なんだと思う」
確かにそうだ
翔ちゃんはすごく当たり前に、さと兄のお父さんを『父さん』と言う
さと兄を『智くん』と呼ぶのも、多分小さい頃からのクセなんであって
心の底から『兄』として認識してるんだと思う
そんなの俺にだって言葉の端々から分かるくらいだよ