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旅は続くよ

第40章 もう少しだけ

N「え、もう接客終わったの?」

まさか腹減ったあまりに追い返したんじゃ…と聞いてみると

O「翔ちゃんだった。いや、客なんだけど」

意味不明な事を言いながら、また漬物の皿に手を伸ばす


N「…翔ちゃん?」

その名前に、トクンと心臓が大きく鳴る

今1番会いたくない、でも1番会いたい人の名前


O「翔ちゃんが客連れてきてさ、『いい』っつーから任せてきた」

N「客?」

O「同じ市役所の人だって。なんか集めてんのがウチにあるんじゃねーかって」

漬物をバリバリ言わせながらノンキな口調で言う

N「そんな貴重な本、アソコにあんの?」

O「ちったぁあるわ。保管庫の分もあるしな」

M「さと兄、漬物食べすぎ」

O「腹減ってんだもん」

M「ほら、唐揚げあげるから」


翔ちゃんが職場の人と…

仲いいのかな…

潤くんが菜箸で唐揚げを摘むと、腹を空かせたヒナ鳥みたいに口を開けたさと兄を見ながら、ボンヤリ考えてた


M「でも珍しいね、翔兄が職場の人連れてくるなんて。男?女?」

O「女。…アッヒ!!」

アツアツの唐揚げを口の中でハフハフさせて、さと兄が涙目になってる

潤くんがその様子を面白がって大笑いしだした

でも、それどころじゃないって!


N「女!?」

どんな女か聞きたくても、肝心のオッサンはアツアツ唐揚げに四苦八苦して、俺の問いにコクコクと頷くだけ

何だよ!ったく

ちゃんと喋れや!

翔ちゃんが女連れてきたって…

どんな?

どこの誰?

まさか…彼女!?


考えるより先に体が動いて、店の方に走って行った


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