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旅は続くよ

第41章 いいの?

実は、こういう時…言いたい事があるんだ

だから会話が途切れちゃうんだと思う

潤は優しい子だから、何か言いたげな俺に気づいて待ってくれてんのに

俺が言い出せない

それが沈黙になっちゃってる…


俺が言いたい事なんて、ホントは大した事ない言葉

『潤の部屋に行っていい?』

ただ、それだけ


ちょっと前までは普通に言えてた

なのに今は恥ずかしくて…なかなか言えないんだ

こんな言葉、何が恥ずかしいんだ!って思うだろ?

普通ならね

それが普通じゃなくなってんのは、俺の頭が恥ずかしいヤツになってっからなんだよっ


M「…まー兄?」

A「あ、何?」

M「やっぱ疲れてそうだね…。今日は早く寝たら?」

A「や、全然っ!全然疲れてないし!」

M「そう?…でも…」

嫌だよ

潤が心配してくれるのは嬉しい

でも……、嫌だ

潤の部屋に行きたい

イチャイチャしたい

…抱かれたい……


そうだよ

最近、俺…すごくスケベなんだよ

潤とヤラしいこと、いっぱいシたい

男のくせに抱かれてて、こんな気分になっちゃて…

それなのに『早く部屋に行きたい』なんてさ

誘ってるみたいで恥ずかしいじゃん!

いや、誘いたくて堪んないだけどさ!


いつの間にか床に落ちてた視線を思い切って上げた

潤は本気で心配そうに俺を見てる

何か言いたそうだな

きっと『寝ろ』って言うつもりなんだろうな

やだよ

このまま1人で寝たくない…

思わず1歩、足が潤の方に向かってた


また1歩、今度は勇気を振り絞って踏み出す

また1歩

言えなくても、伝えたい

潤に触れたい、って

触れられたい、って…


すぐ目の前まで距離を縮めて、そっと服の裾を掴んだ

M「…まー兄…」

頼む、伝わって…

M「…どうしたの?」

分かれよ、バカ!!


こうなったら最終手段とばかりに抱きしめた

腕の中に広がる潤の体温と匂い…

ほら、もうダメだ

ヘンな気分になっちゃってる

無言のまま吐息で潤の耳元に伝えた


M「…あのさ…、そんな事されると…俺、気遣ってやれなくなっちゃうんだけど…」

いいんだよ、それで

それを言葉にせず、抱き締める腕に力を込めて伝える

そしたら、潤の腕がそっと俺の背中を包んで

M「…部屋、行こう?」

やっと欲しい言葉が貰えた


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