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旅は続くよ

第4章 一緒に朝ごはん  潤編

いつまでも考えたって仕方が無い…

無駄にボーっとしてるからダメなんだ

ノロノロと無理やり体を動かして

朝ご飯の仕度を始める


白菜と豚肉を蒸す間に

大根とワカメの味噌汁を作る

塩ジャケを焼いて

茹でておいた青菜のおひたしと

昨夜の残りの筑前煮を並べる

出し巻き卵を焼き始めた頃

階段を下りて来る足音が聞こえた



A「おはよー」

M「おはよ。まだ寝てていいのに」

A「うん。でも何か目が覚めちゃって」

M「あ、ごめん。うるさかった?」

A「ぜんぜ~ん。それよりイイ匂い」

そう言ってキッチンの椅子に座らずに

卵を焼く俺の隣に立つ


A「あ、出し巻き卵?」

M「うん。好きでしょ?」

A「好き~」

とびっきりの笑顔と『好き』の言葉

破壊力あり過ぎだろ…

いや、何言ってんだ俺

まー兄の『好き』は卵の事なのに…


焼けた卵をひっくり返して、残しておいた卵液を継ぎ足す

まー兄はその様子をニコニコして見てる

M「あのさ…、そんな見られるとやりにくいんだけど」

A「そんな事ないっしょ。上手じゃん」


いやいや、だんだん距離近づいてるし!

心臓が勝手に派手に動き出して、メッチャやりづらいんだって!

そう思いながらも

まー兄は傍にいれば、そりゃ嬉しいわけで…



俺はズルい

好きになっちゃいけないと分かってるくせに

弟でも一緒にいたくて

弟としてでも愛されたくて

まー兄の傍から離れられないでいる

どんどん苦しくなっている事も

好きだと叫んでしまいたくなっている事も

ちゃんと自覚しているくせに

…矛盾してる

どこかで『好きなんだから仕方ない』と開き直ってるのかも知れない



固まってきた卵をクルクルと巻くと

まー兄がパチパチと小さく拍手した

A「上手、上手~」

M「オーバーだよ」

A「そんな事ないよ。俺より上手じゃない?」

M「プロが何言ってんの。さ、食べよ?」


温めたおかずを全部並べて、味噌汁もご飯も盛り付けて

まー兄と向かい合って食卓につく

A「いただきます」

M「いただきます」

手を合わせた後、真っ先に出し巻き卵を頬張る様子を眺めた



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