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旅は続くよ

第4章 一緒に朝ごはん  潤編

A「ん~~っ、美味い!最高っ」

M「上手く出来てた?」

A「上出来。最高!世界一!」

満面の笑みで褒めてくれるけど

それはいつもの事だからね

自分でも一口食べてみて

M「85点」

うん、やっぱりちょっと焼きすぎたかな


A「ウソッ、120点だよぅ」

M「まー兄、甘過ぎ」

A「潤が自分に厳し過ぎなんだよ」

M「プロのくせに」

A「プロだから分かんの。潤は愛情こめて丁寧に作ってるもん。だから120点っ」

…顔が赤くなりそうだ

『愛情込めて』なんて、気持ちを見透かされているようで…


そんな俺に、まー兄は

A「うん、美味い。これは150点!」

筑前煮を食べて無邪気に笑う

M「ははっ、昨日は130点だったけど?」

A「そうだっけ。じゃあ一晩経って味がしみたんだね」

M「適当に言ってるくせに」

A「くふふっ。お前ね、兄の言葉を信じなさい」

本当は適当でも何でもいい

まー兄が喜んでくれれば

笑顔で傍にいてくれれば何でもいいんだ


A「潤、最近学校どう?」

M「今は普通。でも来週から忙しくなるんだ」

A「何かあるの?」

M「ゼミ研で新種の菌を培養したって言ったろ?
もう少し研究して教授が論文まとめんの」

A「潤が教授の手伝いすんの?」

M「ううん、院生と3人チームで」

A「すごい!それって選抜チームに入ったって事?」

M「まあ…、そうだね」

A「え、それ超スゴいじゃん!だって潤は5年生だよ!?」

M「だから…雑用だよ。勉強にはなるけど」

A「期待されてんだね!使えない奴チームには入れないんだから」

確かに抜擢はされた

でも正直面倒くさいと思ってた

研究は楽しいけど、その道を究めて生きていこうなんて思ってないから

でも、こうしてまー兄に『凄い』と喜ばれると

何だか自分でも誇らしくなって

頑張ろう、なんて思っちゃったりして

我ながら単純…


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