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旅は続くよ

第46章 あまあまな気持ち

N「翔ちゃんは?」

S「…え?あ、何?」

N「読んだ事ある?『ひとつなぎの財宝』って漫画」

S「…あー、ごめん。読んでねーわ」

M「そういや翔兄が漫画読んでるとこ見た事ないね」

S「んー、最近あんま読まねーなぁ…」

N「そうなんだ…」

S「あ、でも嫌いってワケじゃねーから。なに、それ面白いの?」

M「めっちゃ面白いよ。少年漫画だけど大人でも楽しめるから」

S「ニノ、ハマってるの?」

N「うん、まあ…」

S「じゃあ読んでみたいな」

そう言って俺に向けられた笑顔に、またドキンと心臓が跳ねる

S「ニノが好きなものなら何でも知っておきたい」

もうっ、何なのよ

心臓に悪いんだよ、そのくそイケメンな笑顔!


N「潤くん、待ってて!漫画取ってくるから」

M「えっ。いいよ、急がなくても」

N「いーの、待ってて。ダンボールの中入ってるの取ってくる。頂上決戦のあたりからでいい?」

M「あ、うん」

ドキドキしちゃって翔ちゃんの顔を見てらんない

俺は逃げるように自分の部屋へ走って行った


紙袋に漫画を詰め込んで渡すと、お目当て物を手にした潤くんは、いそいそと自室に籠ってしまい

リビングには、また俺と翔ちゃんの2人きり

ニコニコした視線を向けられると、どうしたらいいかわかんない


気まずいワケじゃないよ

ただどんな顔したら正解かわかんなくて、つい下を向いちゃう

でも翔ちゃんの顔も見たくって、時々様子をうかがうと目が合っちゃって

また照れ臭くなって下を向く…の繰り返し

もう、ホント心臓に悪い…


沈黙が続いた後、翔ちゃんが不意にリビングのテーブルに手をついて立ち上がろうとしたから

N「え…、どこ行くの?」

思わず慌てた声を出してしまった

S「どこにも行かないよ」

クスッと笑われちゃったよ

なに恥ずかしい事言ってんだ俺…


S「でもここでダラダラしててもな…。そうだ、ニノの部屋片づけよっか」

N「え、いいよ。自分で後でやるし」

S「やらせて?あの荷物、俺のせいなんしさ」

N「そんな事ないよ…」

S「それにさ、あのままだと心配だし。出てっちゃうんじゃないかって…」

N「…出てかないよ?」

もともと出ていきたかったワケじゃないんだもん

むしろ出て行かずに済んでホッとしてる

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