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旅は続くよ

第46章 あまあまな気持ち

N「…もう…」

甘い響きのせいで頭がバカになったみたい

照れくさいのなんか忘れちゃったよ


N「…大好き」

S「うん」

N「翔ちゃんは?」

N「…愛してるよ」


もうね、何でもいい

きっと頭のネジも何本か飛んでっちゃったんだ

俺も、翔ちゃんも

蜂蜜にドップリ浸かったみたいな、あまあまの脳みそに

甘い言葉も、すぐ傍の温もりも、お互いの全部が心地よくて

見つめ合った距離が徐々に狭まっていく……


その時

カタン

近くで物音がして


S「あ、」

N「え?」

先に気づいた翔ちゃんの視線を追ってみれば

開いた部屋のドアから踵を返した潤くんが、気まずそうにコッチを振り返っていた


S「いつからいたんだ?」

M「え、いや…、ごめん」

N「…もしかしてずっと見てた?」

M「見てない!いや、見ちゃったけど」

S「見てたのか」

M「見たくて見てたワケじゃないって!見えちゃったから邪魔しちゃ悪いかなって」

S「偶然?」

M「勿論だよ!ってか、ドアぐらい閉めなよ!」


確かにね

そういやドア開けっ放しだったの忘れてた

2階の部屋を使ってるのは俺と翔ちゃんと相葉さん

その相葉さんは今留守だから、完全に油断してたな…


潤くんの手にはさっき貸したばかりの漫画本

まさかその用事だった?

N「え、もう読み終わったとか?」

M「違うよ。抜けてたの。60巻だけ無くてさ」

N「え、マジで?」

さっき翔ちゃんが滅茶苦茶に詰め込んだ本棚を注意深く見ると

辞書と雑誌の間に苦しそうに挟まってる60巻を発見した


N「…はい」

M「…サンキュ」

お望みの本を受け取ったのに、潤くんの視線は俺を見て、翔ちゃんにチラッと移る

まあね

気になるでしょうよ

あんなトコ目撃したらさ


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