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旅は続くよ

第7章 一緒に寝てるの?

M「…出掛けねーの?」

N「おかげ様でフリーライターですから」

1人になりたくて言ったのに

ニノはニコニコしたまま動こうとしない


N「潤くん、学校は?」

M「…今日は2限から」

N「そう。ねえ、今日帰り遅いの?」

思いがけない質問に戸惑ったけど

意図が分からないから素直に答えた


M「…遅いよ。真夜中」

N「そっか…。じゃあさ、そういう時は晩飯どうしてんの?」

M「適当に…。弁当買ってきたり」

N「その弁当、差し入れ可能?」

M「は?いや、いいよ。差し入れなんて」

N「いや、俺じゃなくてね。潤くんのお兄ちゃん」

M「まー兄?」

N「心配で堪んないだってさ」


さっきの心配そうなまー兄の声が頭の中で蘇る

あんなに冷たくあしらったのに…

優しいんだから…


N「張り切ってたよ?『潤は俺の天津飯食べれば元気が出る』って」

M「……」

N「大好物なんだって?」


本当は

特別に天津飯が大好物な訳じゃない

外食で天津飯を頼んだ事もない

中学生の頃、部活で悔しい思いをした俺を慰めるために、まー兄が作ってくれた天津飯

死ぬほど美味くて涙が出た

美味い、美味いとポロポロ泣いた

あれ以来、まー兄は天津飯を俺の大好物だと思ってるんだ

部活の試合の前の日も

高校受験の時も、大学受験の時も

笑顔と優しさの詰まった極上の天津飯を作ってくれるんだ


N「ふふっ、差し入れ決まりだね。やっと顔が柔らかくなった」

M「…え、顔?」

N「なんか暗い顔してたからさ。ねえ、何時ごろ持ってけばいい?」

M「ニノが来るの?」

N「相葉さん忙しい時間帯だからね。
まあ俺で我慢してよ。何たってコッチは一宿一飯の恩も果たさなきゃだからさ」

M「…何だソレ」

意味が分からなくて聞き返すと

ニノは『余計な事を言った』風に苦笑いした


N「まあ…、ちょっと借り作っちゃっただけ」

M「借り、って何?」

話を濁そうとしてるのを分かってて聞いた

2人の間に起こってる事を何でもいいから知っておきたい

…肝心な事を聞く勇気もないくせに



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