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旅は続くよ

第8章 一緒に寝ようよ 翔編

O「じゃー俺のもあげるよ」

智くんがクスクス笑ってニノの皿に卵焼きを乗せて

N「わーい…って、これも食べかけじゃん!なんなのアンタ達兄弟はっ」

一瞬場が和んだ事にホッとしたけど

俺を見てフッと笑った智くんに心がチクリとした

・・・俺は智くんにどう見えてるのかな

やっぱりニノが好きなように見えてるんだろうか

自分でもわからないのに・・・


その事は考えないようにしてる

考えちゃいけないような気がして

でもモヤモヤする

ずっと心に霧がかかってるみたいなんだ


ふと何か気になって視線を動かすと、雅紀と目があった

箸を止めて俺を見る姿に、すぐに視線を逸らしてしまった

アイツはどう思ってんのかな

どういうつもりでニノと眠っているんだろう

気にはなるけど、聞く気はない

深く考えちゃいけないんだ





夜、部屋で仕事の資料を纏めてて、そろそろ寝ようかという時に

・・・喉渇いたな、水でも飲むか

キッチンに向かうとリビングが明るい

微かにTVの音がする

誰か起きてんのか?


S「まだ起きてたのか?」

N「あ。翔ちゃん・・・」

ニノがコタツでパソコンに向かっていた

S「急ぎの仕事?」

N「いや、急ぎってワケじゃないんですけど・・・」

隠し事がバレた子供みたいな笑い方をした


S「眠れない?」

ニノは答えず曖昧に笑ったまま

雅紀は?と聞きかけて止めた

そういえば今夜は仕事で帰らないと言っていた


S「俺が一緒に寝てやろうか?」

誰かと一緒だと眠れるというのなら

別に雅紀じゃなくてもいいじゃないか

例えば、俺でも


N「へ?」

S「眠れないんだって?だから雅紀と一緒に寝てんだろ?だったら」

N「待って。なんで翔ちゃんが知ってんの?」

S「なんでって・・・。俺、お前を起こしに行ってんだぜ?わかるよ」

N「そっか・・・。うわ、恥ずかし・・・っ」

少し赤くなった顔を腕で隠す

N「あのね、いっつも一緒に寝てる訳じゃないんだよ?たまに変な夢見て眠れなくなっちゃうから・・・」

S「いいよ」


別に無理に理由は言わなくていい

ニノの心をこじ開けたいワケじゃない

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