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旅は続くよ

第8章 一緒に寝ようよ 翔編

N「…変な話、してもいい?」

S「変な話?」

N「俺の不眠症の話」

無理に理由は聞くまいと思ってた

だけど、話してくれるなら聞きたい

俺は短く返事をして待った


N「…夢を見るんだよ。母親の」

S「ニノのお母さん…?」

N「俺の母親はさ、俺が中学の頃に交通事故で死んだんだ。…この話した事あるっけ?」

S「いや…。初めて聞く」

N「自殺じゃねーかって話もあったんだけどさ。結局は事故って事でカタが付いたんだよね
でもさ…本当は分かんないんだ。俺にも……」

S「分かんないって…」

ニノは変わらず天井を見たまま

その表情は分からない

それでも俺は目が離せなかった


N「…母さんは死にたがってたのかもしんない
帰ってくるわけない親父を勝手に待って…、待ち疲れてた。だから…」

S「だからって、死にたがってたなんて…。それこそ分かんないだろ?」

N「でも…前に俺に言ったんだ。『一緒に遠い所に行こうか』って。
俺はガキで、自分の事ばっかで、ロクに会えない親父なんてどうでも良くて…
母さんの辛さなんて、考えたこと無かった。……だから………」

S「だから…夢で見る…?」

N「…多分」

ニノは小さく頷いて、ゆっくりと言葉を繋げた


N「ホントは嫌なんだよ?夢で見て…、夢の中で止めたって仕方ないのに…見ちゃうんだ。どうせ止められないのに…
バカだよね。無駄な事して、挙げ句魘されて不眠症になって。なのにさ…」


泣いてるのかと思った

少し声が震えてるような気もして

思わず頭を上げて、ニノの顔を覗いたら

N「ふふっ。…泣いてないよーだ」

小さく舌を出して見せたからホッとした


N「ごめんね、翔ちゃん。暗い話で…」

S「バカ。変な遠慮すんじゃねーよ。…でもさ」

N「…ん?」

S「ごめんな?なんか俺…余計な詮索したかな…」

N「ううん、違うよ。…実はこの話、相葉さんにもした事なくて…」

S「え?」

当然雅紀は知ってる話だと思った


N「あの人、こういう事は言葉にしちゃダメだって。言霊が宿るから言うなって言うんだ。だから聞きたくないんだって」

S「…俺が聞いて良かったの?」

N「ん。なんか…翔ちゃんに話したくなったんだ。ホントは誰かに聞いて欲しかったのかも」

S「…そっか」


誰かに聞いて貰いたい

そんな時は確かにある

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