
旅は続くよ
第9章 一緒に寝ようよ 雅紀編
“あの松本”というのは、潤を産んだ母親だ
電話を寄越した用件も大体察しがつく
また『潤を返して欲しい』って言うんだろう
一般論で言えば、もう成人したとはいえ
実の息子と一緒に暮らしたいと思うのは
母親だったら当然なんだと思う
あくまでも一般論だけどね
それでもニノが『勝手な女』と言うのは
昔あの人が潤を捨てていったからだ
だから俺も潤を返すつもりはない
今でも覚えてる
小さい潤を連れて、あの人が我が家にやって来た時のこと…
あの日から我が家に突拍子もない台風が吹き荒れたからだ
突然『あなたの子よ』と言われて否定する父ちゃん
夫の浮気を突きつけられて怒る母ちゃん
仲良しだった両親が毎日怒鳴り合って
まだ小学生だった俺は、ただ怖かった
だから俺は、最初潤が嫌いだった
自分にも父ちゃんにも似ていない女の子みたいなガキが
幸せだったウチをぶっ壊したんだと思うと
好きになれるワケが無かった
暫くして、台風はあっけなく過ぎ去っていった
あの人の言ってる事が嘘だと分かったからだ
理由は簡単
血液型が違ったんだ
父ちゃんの血液型はB型
ちなみに母ちゃんはA型で、俺はAB型
潤の母親はO型で
……潤はA型だった
つまり、潤は父ちゃんの子供じゃないって事
父ちゃんがあの人と関係があったのは事実だったから
すっかり元通りではなかったけど
とりあえず平和が訪れて…と思ったのに
間もなく父ちゃんが風邪をこじらせて
あっという間に亡くなった
実は、その頃の記憶が曖昧なんだ
何が起こったのか、うまく理解してなかったんだと思う
突然すぎて
悪い夢でも見てるみたいで
きっと母ちゃんも同じだったと思う
この前まで元気だったのに
やっと前みたいに仲良く暮らせると思ったのに
なんで?
どうして父ちゃんが死ぬの?
神様は何をしてるの?
そりゃあ父ちゃんは浮気してたかも知れないけど
死ななきゃいけないような事じゃないでしょ?
そんな中、葬式にあの人がやって来た
ウチをかき回した張本人
俺は覚えてないけど、小さな潤の手を引いて
イケシャアシャアとお悔やみを言って
いつの間にか、姿を消した
……置いて行ったんだ
何も知らない、まだ幼い潤を
電話を寄越した用件も大体察しがつく
また『潤を返して欲しい』って言うんだろう
一般論で言えば、もう成人したとはいえ
実の息子と一緒に暮らしたいと思うのは
母親だったら当然なんだと思う
あくまでも一般論だけどね
それでもニノが『勝手な女』と言うのは
昔あの人が潤を捨てていったからだ
だから俺も潤を返すつもりはない
今でも覚えてる
小さい潤を連れて、あの人が我が家にやって来た時のこと…
あの日から我が家に突拍子もない台風が吹き荒れたからだ
突然『あなたの子よ』と言われて否定する父ちゃん
夫の浮気を突きつけられて怒る母ちゃん
仲良しだった両親が毎日怒鳴り合って
まだ小学生だった俺は、ただ怖かった
だから俺は、最初潤が嫌いだった
自分にも父ちゃんにも似ていない女の子みたいなガキが
幸せだったウチをぶっ壊したんだと思うと
好きになれるワケが無かった
暫くして、台風はあっけなく過ぎ去っていった
あの人の言ってる事が嘘だと分かったからだ
理由は簡単
血液型が違ったんだ
父ちゃんの血液型はB型
ちなみに母ちゃんはA型で、俺はAB型
潤の母親はO型で
……潤はA型だった
つまり、潤は父ちゃんの子供じゃないって事
父ちゃんがあの人と関係があったのは事実だったから
すっかり元通りではなかったけど
とりあえず平和が訪れて…と思ったのに
間もなく父ちゃんが風邪をこじらせて
あっという間に亡くなった
実は、その頃の記憶が曖昧なんだ
何が起こったのか、うまく理解してなかったんだと思う
突然すぎて
悪い夢でも見てるみたいで
きっと母ちゃんも同じだったと思う
この前まで元気だったのに
やっと前みたいに仲良く暮らせると思ったのに
なんで?
どうして父ちゃんが死ぬの?
神様は何をしてるの?
そりゃあ父ちゃんは浮気してたかも知れないけど
死ななきゃいけないような事じゃないでしょ?
そんな中、葬式にあの人がやって来た
ウチをかき回した張本人
俺は覚えてないけど、小さな潤の手を引いて
イケシャアシャアとお悔やみを言って
いつの間にか、姿を消した
……置いて行ったんだ
何も知らない、まだ幼い潤を
