旅は続くよ
第9章 一緒に寝ようよ 雅紀編
気づいた時には、潤は泣いていた
知らない人ばかりで、右も左も分からなくて
不安で、恐くて、
小さな体を震わせて、赤ん坊みたいに泣いてた
そんな潤を、母ちゃんは……
抱きしめて、一緒に泣いた
俺も一緒にワンワン泣いた
潤はすぐに一緒に暮らし始めた
暫く預かるだけかと思ったら
母ちゃんは潤を引き取って育てると言い出した
『雅紀、お前の弟が帰ってきたんだよ』
俺にはそう言ってた
『雅紀の1こ下の弟は母ちゃんのお腹の中で死んじゃったけど
きっと天国の父ちゃんが、代わりに母ちゃん達に弟を返してくれたんだよ』って
今考えればバカみたいな話だ
でも、俺も母ちゃんも寂しかった
それはもう、とてつもなく寂しかった
突然父ちゃんが消えて、生活は一変し
とにかく潤を世話することで自分達の気持ちを誤魔化した
まだガキだった俺は残酷で
自分より可哀想な存在が嬉しかったのかも知れない
でも、それ以上に潤は可愛かった
愛しかった
『まー兄』って花のように笑う潤が
すごく、すごく大切な存在だった
それは…、今も変わらない
大人になってわかった事
血液型のABO式で血縁関係が全て判別できるものではないという事
世界には例外だってある事は
頭の悪い俺でも調べればすぐにわかった
もしかしたら、潤が本当の弟かもしれない可能性は残ってる
でも、母ちゃんも俺もそれを調べる事を望まなかった
本当の家族かどうかなんて
血液型で決まるもんじゃない
俺らの絆をそんなもので決めたくなんかない
もう家族なんだ
俺は潤の兄貴なんだ
誰が何と言おうと
例え、産みの母親が何と言おうと
俺は潤を離さない
潤にはその事実は言ってない
それどころか、父ちゃんの血液型はA型だったと嘘をついている
松本さんが電話してきてる事も黙ってる
口に出すのも嫌だから…
これは母ちゃんと俺と
俺が話しちゃったニノだけの秘密なんだ…
知らない人ばかりで、右も左も分からなくて
不安で、恐くて、
小さな体を震わせて、赤ん坊みたいに泣いてた
そんな潤を、母ちゃんは……
抱きしめて、一緒に泣いた
俺も一緒にワンワン泣いた
潤はすぐに一緒に暮らし始めた
暫く預かるだけかと思ったら
母ちゃんは潤を引き取って育てると言い出した
『雅紀、お前の弟が帰ってきたんだよ』
俺にはそう言ってた
『雅紀の1こ下の弟は母ちゃんのお腹の中で死んじゃったけど
きっと天国の父ちゃんが、代わりに母ちゃん達に弟を返してくれたんだよ』って
今考えればバカみたいな話だ
でも、俺も母ちゃんも寂しかった
それはもう、とてつもなく寂しかった
突然父ちゃんが消えて、生活は一変し
とにかく潤を世話することで自分達の気持ちを誤魔化した
まだガキだった俺は残酷で
自分より可哀想な存在が嬉しかったのかも知れない
でも、それ以上に潤は可愛かった
愛しかった
『まー兄』って花のように笑う潤が
すごく、すごく大切な存在だった
それは…、今も変わらない
大人になってわかった事
血液型のABO式で血縁関係が全て判別できるものではないという事
世界には例外だってある事は
頭の悪い俺でも調べればすぐにわかった
もしかしたら、潤が本当の弟かもしれない可能性は残ってる
でも、母ちゃんも俺もそれを調べる事を望まなかった
本当の家族かどうかなんて
血液型で決まるもんじゃない
俺らの絆をそんなもので決めたくなんかない
もう家族なんだ
俺は潤の兄貴なんだ
誰が何と言おうと
例え、産みの母親が何と言おうと
俺は潤を離さない
潤にはその事実は言ってない
それどころか、父ちゃんの血液型はA型だったと嘘をついている
松本さんが電話してきてる事も黙ってる
口に出すのも嫌だから…
これは母ちゃんと俺と
俺が話しちゃったニノだけの秘密なんだ…