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蒼い月の下で

第2章 歌姫

今もまだ夢見てる
揺れ惑いながら

それでもいいの

わたしが決めたの

始まりも終わりも
夢の途中もーー
この夢物語はわたしが主人公



綺麗な旋律が自由に舞う。


ミラは不思議な声の主に微笑みかける。曇りのない晴れ晴れとした表情で。


「あなたのおかげね。わたしはミラ。あなたは?」


しばしの沈黙の末ーー返ってきた。


“……ユタだよ”


「ふふ、よろしくねユタ。またお話できる?」


“さあ。僕にもわからない”


「そう、なの?」


“本来なら、僕は出るべきじゃない。……歌、ありがとう。がんばりなよ人魚のおひめさま”



ミラは消えていく感覚に少し寂しさを覚えながらも頷いた。そろそろ戻るべきだろうかーーと、思いかけたときだった。蒼い月が古城を映し出したのは。



ミラは驚きのあまり言葉を失ってしまった。



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