
雨が夕日に変わるとき
第1章 雨が夕日に変わるとき
「綾芽ちゃんが謝ることじゃないよ。俺がはっきり断らなかったから」
「ううん、私も悪いから。帰ろうか。それと、もうこんな関係終わりにしよう。メールアドレスもサイトの友達リストからも消しとくから」
「そうだな」
私たちはどうすることもなく、すぐにホテルから出た。
「ばいばい、将ちゃん」
「綾芽ちゃん、一つだけいい?」
「何?」
「好きな人いるなら、好きって気持ち伝えた方がいいよ。俺も今言う。最初はそんな気なかったけど、今は綾芽ちゃんのこと少し好きになってたかもしれない。けれどそれはいけないことだから、これ以上、ずるずる進まない歯止め利かしてくれて感謝してる。ありがとう」
私は黙って首を横に振る。
「こちらこそありがとう」
「あぁ。ばいばい、綾芽ちゃん。元気でね」
「うん」
私たちは背を向けて歩き出す。一度も後ろを振り向かなかった。
