
雨が夕日に変わるとき
第1章 雨が夕日に変わるとき
「私も方こそ、無神経なこと言ってごめんね。でも、ちゃんと彼氏いたんだねっ!」
「彼氏って?」
「これ。昨日、コート忘れて帰ったでしょ! 綾ちゃんが怒ったことなんてなかったから暫くぼーっとしてたんだけど、少しして届けに行こうとしたら、アイアイ傘してたでしょ? 邪魔しちゃ悪いなって」
「あ……。あの人ね、彼氏じゃないんだ。付き合ってたわけでもないんだけど、もう会わないことにしたから」
ホテルに入るとこを見られてしまったのだろうか。眞子ちゃんにだけは見られたくなかった。だけど、地元の駅前のホテルなんて行っていた私が悪い。
「え? 何で?」
「また、放課後に話すから。ここで話すことでもないしね」
バスが来て、私たちは学校に向かった。
