雨が夕日に変わるとき
第1章 雨が夕日に変わるとき
私は携帯を開く。彼と初めて出会った場所。ただのSNSサイト。彼のトップページに飛ぶとあるのは、彼そっくりのアバターと簡素な自己紹介のメッセージ。
アルバムには顔にスタンプが押された子供の写真。あぁ、私はひと時でも彼の家族から大切な時間を奪っているんだなと思ってしまう。だけれどそうでもして気を紛らわしていないと、私の心が壊れてしまうから。
「ただいまー」
「お帰りなさい」
家に着くと待っていたのは、いつもの日常。だけど親にはこんなこと相談できなくて、いつもと変わらぬように振舞っている。だけどそのことが今の私にはとてつもなく辛い。