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雨が夕日に変わるとき

第1章 雨が夕日に変わるとき


「ちょっとね」

「恋愛の悩みですかい? 何でも聞くからいつでも話してね」

「うるさい! 眞子は何も分かってない癖に! もう知らない。最低!」

 私は千円札をテーブルの上にバンと置くとカバンを手にカラオケボックスを飛び出してしまう。

 やってしまった。眞子ちゃんは私の気持ちなんて知らなくて当たり前なのに。私が気持ちを伝えていないから分かるはずもないのに。感情的になって勝手に眞子ちゃんに当たり散らして、変なことばっか考えて……最低なのはどっちよ。私の方じゃない。

 絶対に傷つけてしまった。だけど、今だけでもいい。忘れたい。カバンから携帯を取り出して将ちゃんにメールを送る。

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