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恋色~SS~

第5章 真鈴の仕業

海星「嘘‥だって麻理ちゃん、俺が小さい時からずっとこの家にいるし…。」


麻理恵「それは、離婚したばかり兄さんが突然実家に帰ってきて…。」


海星「え?」


麻理恵「兄さん、真鈴の赤ちゃん用のミルクさえ作ることも出来なくて。」


海星「うん。それで?」


麻理恵「両親は忙しくて、祖父母もいたけれどずっとは面倒見れないからって、当時高校生だった私が真鈴の面倒を見ることになって。自然と母親代わりに。それでズルズルとそのまま…。」


海星「そうだったんだ…。麻理ちゃん、大変だったんだね。」


後ろから被さるように麻理恵をギュッと抱きしめる。


海星「俺はね、ずっと…。ずっと、永遠に叶わない恋だと思ってた…。」


麻理恵「‥ごめんね。傷つけちゃったよね。もっと早く言ってたらよかった。」


海星「麻理ちゃん、俺は真実が知ることが出来て良かったよ。」


麻理恵「うん。‥ねぇ、海星君の顔が見たいな…。」


海星「ん‥ダメ。今は見せられない。」


海星は急いで涙を手で拭く。


麻理恵「何で?見たいの。」


海星「‥分かった。」


ナカから一旦抜くと、麻理恵がクルッと海星の方に向いた。


麻理恵「やっと顔見れた。海星君‥泣いてたの?」


海星「泣いてませんっ。」


失恋だと気づいてからもずっと思い続けていた海星の目から涙が溢れ出す。


麻理恵「海星君、綺麗な涙だね。‥さっきはごめんね。その、無理やり…。」


麻理恵が涙が流れている海星の頬に手で触れる。


海星「大丈夫です。驚いたけど俺、心ではちゃんと喜んでたし…。麻理ちゃん…。」


麻理恵「何?」


その手に海星は自分の手を重ね、ずっと言いたかった言葉を伝える。


海星「俺、麻理ちゃんが好きです。」


麻理恵「えっ?」

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