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恋色~SS~

第7章 運命の彼女

智也「おい、起きろ。薬飲めるか?」


結花「ぅ‥せん、ぱぃ?」


智也「お前、風邪みたいだから薬だ。飲め。」


結花は首を横に振る。


結花「飲みたく‥ない…。」


智也「ったく、おい口少し開け。」


そう言った直後、自分の口に薬と水を含むと、口移しで結花の口内に流し入れた。


智也(頼むから飲めよ。)


結花「む‥ぅ、‥ゴクン…。」


智也「飲めたみたいだな。水、もっと飲むか?」


結花「はぃ…。」


智也は結花を支えながら、水を飲ませる。


智也「少し休め。」


結花に水を飲ませた後、横にさせ布団を掛ける。


結花「せん、ぱ‥ぃ。」


智也は服の裾を結花に掴まれていた事に気づく。


智也「何だ?」


結花「眠るまで‥そばに居てくれませんか…。」


智也「‥ああ、眠るまで、な…。」


智也はベッドの横にあった椅子に座る。


結花「ありがとうございます…。」


智也「礼なんていい…。」


結花「‥先輩?手を‥繋いでもらえませんか?」


結花は布団の端から手を出していた。


智也「ああ。」


結花の手に自分の手を重ねた。


すると、結花の方からキュッと手を握ってきた。


結花「離さないでくださいね。」


智也「分かった。握っててやる。だから、早く寝ろ。」


結花「‥はい。」


しばらくして結花が眠りについた。


そっと握っていた手を離し、保健室を出ると自分の教室へ向かった―――。




―――階段を登りきった時、ちょうど授業終了を告げるチャイムが校内に鳴り響く。


智也は自分のクラスのドアを開け、中に入ると一人の男子が話しかけてきた。


???「トモ、どこ行ってたんだよ。」


話しかけてきたのは、先程まで保健室に一緒にいた女の子の兄、知名昇(ちなのぼる)。


智也「それよりチナ。お前の妹、何組だ?」


昇「たしかD組だったと思う。でも、何でトモが結花のことを?」


智也「今熱出して、保健室にいる。」


昇「結花が!?行ってくるっ。」


昇は急いで保健室に向かって行った。


智也は荷物を取りに結花のクラスへ向かった―――。

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