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恋色~SS~

第7章 運命の彼女

―――結花のクラスに居た女子に声をかけると、悲鳴?(正しくは歓喜の声)に似たような声がそこら中から聞こえてくる。


智也は構わず、クラス委員長のような女子に事情を話す。


鞄を受け取り、教室を去ると二人かいるであろう保健室に向かった。


保健室の扉を開けると奥のベッドにはカーテンの向こうに昇の影が見えた。


智也「開けるぞ?チナ、これ荷物。」


昇「トモー!突然だけど、俺今日から月末まで遅くなるんだ。」


智也「は?何で。」


昇「今日中に下絵を仕上げないと、今月末の締切までに間に合わないんだ。」



智也「妹だろ?心配じゃないのか?」


昇「心配に決まってる。けど、俺にとって絵も同じぐらい大事なんだ。だから…。」


智也(嫌な予感…。)


智也「…。」


昇「だから、頼むトモ!!俺の代わりに今週だけでいいから結花のこと頼む。」


昇が頭を下げる。


智也「は?」


昇「トモは俺んち知ってるし…。それに今、両親は旅行中で‥結花のこと一人にしておけない。トモ、頼む!!」


智也(二人だけとか、尚更マズいんじゃ…。)


智也「‥ったく、分かったよ。今週だけだからな。」


昇「トモ!!ありがとう。お礼に学食の限定プリン奢ってやるから。」


昇に飛びつかれ、肩を組まれる。


智也「分かったから離れろ。プリンは妹にやれ。」


昇「やっぱ、持つべきものは親友だよなっ。あ、鍵は結花の鞄に入ってるはず。トモの荷物は、あとで取ってくる。」


智也「?‥ああ。」


昇「じゃあ早速…。」


智也「?」


昇「トモ、何やってんだ。突っ立ってないで早くしゃがめって。結花をおんぶしないと運べないだろ。」


智也「‥ああ…。」


昇の言葉に唖然としたが、言うことに従う。


昇「結花、兄ちゃんだ。トモが結花のこと、家まで送ってくれるって。だから安心しろ。結花、体起こせるか?」


結花「う、‥お兄ちゃ‥ん?」

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