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ミニスカート

第8章 開国港の休日

とにかく無事に会えてよかった。せっかくだから限定スイーツでもご一緒にと誘うたぬ吉であったが、☆☆ちゃんはこれから予定もあるからと申し訳なさそうに断りを入れる。

満面の笑顔で盛大に手を振ってたぬ吉はふたりと別れた。

断られて何だかホッとする。アイドルちゃんとプチデートなんてしたら、やっかんだファンに目を付けられたりして後々どんな災難があるか分からない。

振りかかる火の粉をなぎ払う自信はあるが、極力問題は起こしたくない。

でも、可愛い女のコを前に口説きもしないのは失礼だというのがたぬ吉の流儀である。

☆☆ちゃんも本当はご一緒したいのはやまやまだが、ボクに迷惑がかかってはいけないと気を遣ってくれたのだろう。
なんていいコなんだ・・・常にポジティブに考えるたぬ吉であった。

☆☆ちゃんとフレンドリーにしていたのを見られたのか、何だか視線をカンジる。

たぬ吉は予定よりも早く会場を抜け出した。

声優さんやアニメ歌手が来るといっても、実はそんなに知らない人たちだし、また来るからそんなに未練はない。

展示された痛車のNo.1投票があるので、大好きなガールズパンツァーも、オタク世界的には有力人気のラブライブも、それこそ大好きで写メを何度も撮ったスクール水着も、全部押しのけてプリキュアの痛車に投票した。
どんだけプリキュアが好きなんだろう、この男は・・・

「あっ、たぬちゃんだ」
市街地に入るとたぬ吉を見つけて小さな女の子が飛びついてきた。例のラブラブのバツ2さんの娘だ。たぬ吉は娘を抱き上げて頭を撫でてあげる。

「パレードももうすぐだし、ライブやアニメイベントもあるよ。一緒に行こうか?」
と近くにいたバツ2さんにも声をかける。バツ2さんの近くには年配の女性がいて、怪訝そうにたぬ吉を見る。

「ごめんね~、今日はバアバとお祭り」
娘は嬉しそうに笑う。
「ごめんね、今日はお母さん来てるんだ。またね」とバツ2さん。

「そっか、じゃあまた」
「またね~、たぬちゃん」
嬉しそうに手を振る娘に盛大に手を振ってたぬ吉は歩き出した。

今日はよく盛大に手を振ってフラれる日だ・・

「あはは~、あの人は絶対に大丈夫よ」
後ろからバツ2さんの声が聞こえてくる。大体会話の内容は分かる。またヘンな男に引っかかってないか心配されてるのだろう。
バツ2さんだもんな・・・

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