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ミニスカート

第11章 キセキの街に最後の恋の旅

たぬ吉は父親と似ていると言われるのがイヤだったが、クソガーキは嬉しそうにしているので、たぬ吉も何だか嬉しかった。

「高校生か、隠れてタバコ吸ったり悪いことしてるんでしょ」とバツ2さんがからかうので、

「タバコなんて吸わないよな。おっぱいしか吸いません」とたぬ吉が返す。

「きゃはは~、出た~、たぬちゃんのオヤジギャグ」とバツ2さんは盛大に笑った。

居合わせたたぬ吉とは顔見知りの客も「ワハハ、ボクも大好物です~」と話に入ってきて、しばらくはそのネタで盛り上がった。

店の閉店までいて、たぬ吉とクソガーキは旅館に向かった。この旅館は安いけど、古い日本旅館で風情がある。こんな風情がある旅館は好きな人に会いに旅する自分の気持ちにぴったりで、旅情に浸れる。

クソガーキとは別の部屋を用意してくれてあったのはラッキーだった。

クソガーキが寝静まってからたぬ吉はこっそり旅館を抜け出してバツ2さんとラブラブした。

クリスマスには少し早いけど、たぬ吉は娘へのプレゼントを渡した。

「ありがとう、たぬちゃんサンタさん。きっとスゴく喜ぶわ」

「まあ、ボクは娘のパパみたいなもんだしね」とたぬ吉は顔を赤くする。

「あたしには、たぬちゃんがこうして会いにきてくれるのが一番のプレゼント。だから、また来てね」

「うん、次は黒船祭の時ね」
たぬ吉はバツ2さんや娘と楽しく過ごした黒船祭を想っていた。

「ダメ、もっと早く来てよ」
バツ2さんは少し怒ったような寂しそうな顔をして言った。

「うん、3月までには来るようにするよ」

「約束・・」
そう言ってバツ2さんは目を閉じてたぬ吉に顔を近づける。

たぬ吉はそっと唇を重ねてバツ2さんを抱きしめた。

次の日はBLACK SHIPを楽しんでから帰った。
たぬ吉はバツ2さんとの唇や抱きしめた余韻嬉しさと寂しさが入り混じったような切ない気持ちで
浸っていた。

それからはLINEでラブラブ。
クリスマスもハッピーニューイヤーも最初に贈ったのはバツ2さん。

でも、やっぱり会いたい気持ちは募る。

考えてみれば、たぬ吉は転勤してから会社の公式行事や接待以外では外で飲むことはなかった。

キャバクラとか、ナンパも一切していない。


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