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ミニスカート

第11章 キセキの街に最後の恋の旅

この空気は本当にたぬ吉を癒してくれる。
帰ってきたってカンジがする。

たぬ吉は娘にお土産のプリキュアのお人形を手渡す。

「ありがとう、たぬちゃん」
と娘は嬉しそうにお人形をカバンに入れたり出したり。カバンの中にはたぬ吉があげたプリキュアグッズがまだ大事そうにしまってあって嬉しい。

たぬ吉に気を遣ってくれているように客は次々と帰り、バツ2さんの飲み友らしい女性2人組だけになった。

「今日はお客さんも少ないし、やっぱり病院に行くから帰っていい?」

「うん、お大事にね」

バイトさんはバツ2さんに断って帰ることにした。さっき聞こえてしまったのだが、父親が入院している病院から電話があったようだ。

「たぬちゃん、久しぶりなのにごめんね。バツ2さんと仲良く」

「うん、お大事に。お店混んできたらボクが手伝うから、安心して」

バイトさんも帰り、お店にはたぬ吉とバツ2さんと娘と女性客2人だけになった。

たぬ吉が娘と遊んであげてるので、バツ2さんは飲み友さんと楽しそうに話している。

携帯の話題になって、バツ2さんが付き合っている人と駅で待ち合わせたらスマホを落としてしまって買い換えるのにとんだ出費だったとか話している。

スマホっていったらワリと最近だったんだ。そんな時にカレシいたんだとか思いながら、娘とプリキュアの本を見ているのに夢中で話を聞いてないフリをするたぬ吉。

娘が保育園でお絵かきした紙を出して、ちょっと見てニコニコするとまたくるくると丸めてしまった。

「保育園でお絵かきしたの?」
「うん」
「何をかいたの?見せて」
「いやだあ、見ないで」

娘は慌ててカバンにお絵かきの紙をしまおうとする。

「きゃはは、あんなにたぬちゃんに見せるの楽しみにしてたのに、恥ずかしくなったのかな?またしばらくたぬちゃん来れないから見てもらわないと後悔するよ」

バツ2さんに言われて娘は恥ずかしそうにお絵かきの紙を広げる。

大好きな人ってテーマのお絵かきだったみたいで、そこにはたぬ吉とバツ2さんがいて真ん中に娘がいた。みんないい笑顔だ。

娘はちょっと不安そうにたぬ吉を見る。

「上手だね~。ありがとう」

たぬ吉がとっても嬉しそうに誉めてくれたので、娘もとびきりの笑顔になる。

「あら~、とってもお上手ね」
「3人ともとっても幸せそう」

飲み友さんも祝福をしてくれる。

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