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恋愛成就の願いごと

第1章 恋愛成就の願いごと

 次の日。

「巫女さ……」

 石段の上で待っていると涼平が駆け上がりやってきた。昨日と同じで息が荒い。巫女さんと言いかけ、私が私服であることを見て、途中で辞めたのだろう。

「昨日、私の名前言ってなかったね。里中優花(サトナカ ユカ)。好きに呼んでちょうだい」

「では、優花さんで」

 男の子に名前を呼ばれるなんてことは、上京するのに彼氏と別れて以来のことで、どきっとする。

「じゃあ、涼平くんかしら?」

「なんか……照れますね」

「ははっ、じゃあ如月くんって呼ぼうか?」

「いっ、いや、涼平でいいです!」

 涼平の慌てる様子に自然と頬が緩む。

「もー何を笑ってるんですか?」

「あはは、ごめんごめん。じゃあ、そろそろ行こっか」

 ぷくーっと頬袋みたいにする涼平が可愛くて仕方がない。こんなに笑ったのはいつ振りのことだろうか。

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